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こんなのです

しばらく書いてないし、少し時間がたったのでどんなのか? という方のために上げておきます。

リリカルデイズ
エピソード111
お見合い大作戦! その1

ついでなんで微妙に加筆修正しときますね。
であどうぞー

フェイト・T・ハラオウンは窮地に立たされていた。

その難敵は…己の前に山となる書類。
イスに座って机に向かうと前が見えないくらい立派な山。
何時の時代の漫画の光景かという文句を紡ぐことも忘れてしまう、現実は何時だって創造を簡単に上回る。
…別に知りたくはなかったけれど。

「…かあさん、いったい何時から準備していたの…?」
誰かのユニゾンのように呟きがため息と見事に同調するが、残念なことに誰も同情はしてくれない。

全ては本局に訪れたときに、久しぶりに義母に会おうと思って足を運んだのが全ての間違いだったというのか。
兄の決め台詞が脳裏を駆け抜ける嵐。
家族相手にとは何たるカオスか。
それはきっと無垢なる混沌という名で彼女の記憶に刻み込まれたことだろう。


リンディの執務室の来客用ソファーに座り近況報告や世間話に花を咲かせる母娘。
いつものあま〜いお茶を飲みながら母・リンディは真顔で娘に言う。
「そういえばフェイトって全然浮いた話を聞かないわねぇ」
「…仕事が忙しいから、仕方ないよ」
六課には出向の身、元々執務官であるフェイトは普段はそちらの職務に回ることが多い。
新人の訓練をなのはが主に勤めているのは二人の役職の実態そのものである。
そして執務官の仕事はあちこちを飛び回るもの。
現在フェイトは六課との兼ね合いから動く範囲は限定しているが、常に人材不足に頭を悩ませる時空管理局。
優秀な人材を遊ばせておく余裕はない、つまり仕事は幾らでもあるのである。

「私があなたくらいの頃にはもうクライドさんとらぶらぶだったんだけど…」
「あはは…残念だけど母さんみたいな素敵な出会いはまだないんだ」
既に孫も居る身でのノロケにフェイトもタジタジだった。
顔に汗が張り付いているのはわかるし背中にも嫌なものが張り付いている。
後でシャワーだなと意識を逸らすのはきっと自己防衛のなせる業。
何時の世もどんなときも、一人身が聞くノロケは苦い。
ウドのコーヒーも真っ青だ。

「というわけで、フェイト、お見合いしてみない?」
「えっ!?」

それは唐突に切り出された。

「実はね、結構そういうお話があなたに来てるのよ」
「で、でも私まだお付き合いとか結婚とか考えてないよ…」
ミッド生まれ(しかも幼少期の教育が特異)で海鳴育ちのフェイトにとって、異性との付き合い、そして結婚というものは身近なものではなかった。

ある意味で義兄と同じような考えで執務官へと駆け足で上っていったフェイト。
その数は多くはなくとも、友人には恵まれていた。
…ただし、周りに男っ気はまるでない。
そういうものの積み重ねがフェイトの今を作っている。

けれどリンディもそれは承知の上で、この話を切り出している。
「何事も経験よ。ちょっとした切欠で始まる恋なんてどこにでもあるわ」
正論。

「そ、それはそうかも知れないけど…」
だからといってすぐにはいそうですねとは言えるわけもなくて。
「お話が一つ二つなら断るのも無碍じゃないんだけど、数が増えると私も向こうも面子に関わってきちゃうのよ」
私のためにも一度せめて一人くらいには会ってくれないかしら、といわれるとフェイトは弱い。

(…母さんがそこまで言うなら、一度くらいはいいかな?)
お見合いを一度しただけですぐにお付き合いや結婚ということもないだろう。
(…ヘンな噂もいい加減になんとかしたいし)
フェイトの悩みの種の一つに、自分が同性愛者だというものがある。
男っ気もなく、友人にはべったり?で、最近は保護した幼女に二人でママと呼ばせてるなど、本人にその気はなくともネタは幾らでも勝手に解釈されて動き出すので止めようもない。
頭の中で色々シュミレートした結果、マイナスになることはないと判断して、フェイトは答える。
「母さんがそこまで言うなら…一度やってみるよ、お見合い」
「ありがとうフェイト!」
そこでリンディが指を一度鳴らすと、目の前に巨大な冊子の山が現れる!
「!? …母さん、これは?」
フェイトは恐る恐る尋ねる、半ば答えを確信しながら。
「あなたに来たお見合い写真よ(にっこり)」
…せいぜい10人くらいから来てるのかな、などと思っていた自分の考えはまるで通用しない世界がここにあった。
(…うーん、向こうの中学生時代は別にしても、ミッドではお茶とかにも誘われたこと殆どない私になんでこんなに来るんだろう…)

自分の魅力にまるで気付いていないフェイト。
健全な男から見れば、彼女は立派に高嶺の花である。

「…とりあえずの候補を一人選ぶだけで日が暮れちゃうよ…」
フェイトの嘆きは、誰にも届かない…


そして話は冒頭に戻る。
リンディの執務室の隣の小部屋(専用休憩スペース)でフェイトはなれない戦いに苦戦を強いられていた。
「うーん、正直写真と簡単なプロフィールだけじゃ私決めるの無理かも…」
別に面食いではないし、収入もそんなに気にしない、学歴も同じ。
となると選ぶ切欠が見当たらない。
(そもそも私は執務官やめるつもりないし、エリオとキャロが一緒にいてもいいって言う人、そんなに簡単にはいないよねえ)
交際にしても結婚にしても執務官は続けるつもりだし、引き取った二人は大事な家族だ、離れる気もない。
共働きのコブつきの女でもいい、なんていう人がそうそう居るとは思えない、普通に考えたら。
かといってさいころやあみだくじで選ぶのも失礼だ。

「どうしよう…」
本気で悩みながら冊子を一冊一冊必死に眼を通し、載っている情報を必死に頭に読み込ませ、なんとか候補と言えそうな相手を数人見つけていく。

2時間後…眼を通したのは…数えて100冊。 とりあえず5人は選抜した。
「あと、一人か」
最後の一冊を手に取る。
もう慣れた手つきでそれを開き―

「ぷっ!!!?」

本気で吹いた。

何故ならそこに写っている写真の主は、彼女がよく知る人物で。


「母さん!」
珍しく思わず声を上げて隣の部屋に乗り込むフェイト。
「最後のは何!? あれはいたずら? この場合冗談には見えないよ!!」
「…最後、ああ、『彼』ね?」
フェイトに言われた人物が誰なのか理解したリンディは、それ故に笑みを崩さない。

「なんでユーノがいるの!?」

そう、101人目はフェイトのよく知る男性…そして唯一ともいうべき異性の友人、ユーノ・スクライアだったのだから。

「ユーノ君ね、彼のところにもお見合いの話はたくさん来てるのよ」
「…え?」
そのリンディの言葉にどこかで小さな痛みを覚えたのか、問い返した声はいつもより小さい。
「だって普通に考えるとユーノ君って本当にいい子じゃない。その上玉の輿も狙えるって出来すぎよね」
「…そ、そうかな?」
口ではそういったものの、フェイト自身もそれはなんとなくだが確かに理解していた。
「でもユーノ君、『今はそういうこと考えてない』の一点張りでね。私やレティに説得してくれないかって来てるのよね」
だから一応あなたのところにも混ぜておいたのよ、と答えるリンディの視線を受けて、フェイトは自分がユーノの資料をまだそのまま手にしていたことに気付く。
「…そういえば、私ってユーノのことそんなに詳しく知らないや」
そういうことを考える前にはもう友人だったのだから。
(…いったいどういう風に紹介されているんだろう?)
写真を見た瞬間母へと抗議に出たのでプロフィールに眼は通していない。そこに書かれているのは客観的に見た友人の評価。

「……」
改めて見た友人の評価に、フェイトは言葉を忘れ眼を白黒させていた。
(ゆ、ユーノってこんなに凄かったんだ)
話は聞いていたが実際に実績として活字になるとこんなにも印象が違うものなのかと思い知らされる。

このときフェイトの頭から、さっき必死に選んだ五人のことは綺麗さっぱりとなくなっていた。

じっと冊子を見つめる娘を見ていた母はちょっとだけ笑って言う。
「じゃあとりあえずユーノ君ってことで話を進めていい?」
「か、母さん!?」
「…じゃあ他にお見合いしてもいいって相手はいたの?」
「うっ…」
ユーノ・インパクトで全て吹っ飛んだフェイトにもう手札はない。
「で、でもユーノにはなのはが…」
必死に抵抗を試みる。
…胸の奥の小さな違和感には気付かないフリをして。

思い出したのはホテル・アグスタの時。
気を利かせて二人きりにしたときにちらりと見たなのはの顔は、間違いなくユーノへの想いを持った女の子の顔だったのだから。
(…なのはは自分でそれに気付いてないだけ。絶対にユーノのこと好きだよ。それに…お似合いだし)
また、胸の奥がおかしい。でもきっとそれは慣れないことしたから疲れているだけだ。
そう、思い込んだ。

「…ユーノ君は誰とも付き合ってないって言ってるしね」
リンディもその辺りはもちろん判っている。だが本人にそういわれればそうやって話を動かすしかない。
(…ちょうどいいや、ならこの機会にちょっとユーノと色々話せばいいよね)
「そうなんだ。じゃあお互い色々と都合もよさそうだし、ユーノにちょっと手伝ってもらうよ」

「…ええ、じゃあそういう方向で進めていくわね」
そういってすぐにフェイトに背を向けたリンディの口元は、微笑んでいた。
(…これはもしかすると大きな動きになるかもね)
フェイト本人はまだ気付いていない。

ユーノを選んだときに自分が浮かべた笑顔の意味を。


続く

author:まる, category:SS(リリカルデイズ), 03:17
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Comment
オフ会では色々と話をさせて頂きアリガトウゴザイマした。またお会いして色々とお話ししましょう。では感想。やっとお見合いシリーズの更新ですね。今は復習編ですね。さてこの後『管理局の冥王』と我らが『夜天の王』はこの二人のお見合いをどう潰す(?)のか楽しみにしています。帰りの話を聞いていたらオチは何となく読めましたが・・・。では。
セブン ウィンズ, 2007/10/26 10:21 AM
>本気で吹いた。
この文で吹きました。
まるさんは話のテンポいいですね。楽しいです!
毎日見てますが、気長に待たせてもらいます。
フーキ, 2007/10/26 9:17 PM









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